野中農園
野中剛さん
野中農園さんって、アスパラも育てられてますが、イチゴが先なですか?
メインは米農家なんです。そしてイチゴをはじめて、アスバラという流れ。
アスパラは稲とすごく相性が良く、稲は藁(わら)とか籾殻(もみがら)とか副産物(原料)ができるのでそれを有効利用できるものが、アスパラだったんですね。
逆にイチゴは本当に高コスト(笑)
冬は暖房が必要で、夏はエアコンをつけないと。この地域(上川)はそんなに向いている地域ではないんですけど、逆に条件が厳しいから何かいろいろ試したり解決策を工夫するんです。でも、イチゴ作りにはやっぱり難しい地域なんです(笑)
もともとお米だったのに、何故イチゴなんですか?
家業としては米なんですけど、うちの親父の時代は長ネギとかピーマンとかやってたんですけど、長ネギは中国産が入ってきてからもう大暴落で・・。
それなら、いろいろなものを探して、自分が農家を始めたときにイチゴも一緒に始めたという感じです。
あとは、単純にもうかるんじゃないかな・・と(笑)
最初の頃はビギナーズラックで3年ぐらいは当たったけれど、その後は散々でした・・(笑)それから集中しだして。どういう風につくっていったらいいかっていうヒントをくれたのは、やっぱりお客さんでした。
そんな厳しかった中で、自ら新しい品種を作るってすごいですよね。
「今、こういうことをやっているんだ」というのをお話したら「だったら、こういう視点もあるんじゃないか」って言われて、なるほどそしたら、品種をちゃんと形にしようという繰り返し。
なかなか一人で走り続けてもうまくいかないので、何か聞いてくれるタイミングがあって、そこでいろいろお話をもらえたんです。
「できあがったもの」の発信じゃなくて、「今やっているもの」の発信も大事ですよね・・・。
ですね。そういう発信したいという理由もあって呑める場所を作ってみました。
米農家の仲間8人で出資し合って、地域に呑める場所がなかったので、作ってみようとなりました。
関東など遠くのお客さんに、来てもらったときはそこに一緒に行くんです。自分たちの店だと商品の見せ方もやりやすいのでよかったと思ってます。
なるほど、ではあのイチゴのスパークリングワインは、そういう経緯もあったんですか?
お酒が好きだから、自分で飲むために作ったんです。(笑)
添加剤を入れないで醸造と炭酸ガスだけで、どうなるのかという試してみたら思いのほか、お酒らしくなったので。(笑)
酒屋さんでも販売しているんですけど、本当に知っている人だけ。
いちごの酒は、誰もやらんだろうなと思って。
うちでも、やっぱりイチゴジャムが一番売れます。特に野中さんのイチゴは大きいから、そのまま半分にして使っているんです。
でも具の形が、あんなに残っているのって無いですよね。スーパーでも結構こだわってるところにしか、具がそのままというのはないかも・・。
そうですね、普通はプリザーブタイプとかピュレとかですかね・・
つぶしちゃったほうが、効率的に早くできるというのもありますし、あとは作る側も楽だと思います(笑)
薄く塗るとかとじゃなくて、本当に「食べるジャム」という感じなんですね。
ちなみに、去年の夏の暑さとかは大丈夫だったんですか?
コロナよりひどかったです(笑)
ハウスが暑くて、もうクーラーも通用しなかったんです。
え!どうしたんですか?
あそこまで暑いと、いっせいに実がなり始めるんですよね。
実が無くなった後は、負担が無くなり、暑くて身を守らなきゃいけないから、もう花を咲かせない。
イチゴも自分の子孫を残して生き延びるよりも、自分の実を維持するのに精一杯で、イチゴのみならずトマトも全く花が咲かなくて収穫ができない。こんなのは始めてでした。
そうだったんですねー。
ちなみに農家さんは、色々な大変なことも多いと思うんですが、野中さんが一番よかったことは何ですか?
やっぱり、自由というところでしょうか。
農家は、自分が仕事をしたいときにして、一番は結果を出せばいいっていう感じなんです。
サラリーマンだと、休まなくてもいい時に休まないといけない時もあったし、農家って1年のサイクルなので、なかなか周りのサイクルには合わせられないけど、繁忙期以外は週一で休みを作れるようにもなりました。
しかも、今は自宅にいて温度管理もできるので、その分他の作業もできるし本当に便利になりました。
イチゴを品種改良するのは、どんな目的があるんですか?
まあ、どれだけ自分に都合がいいか(笑)
要は、自分にとって作りやすく、自分が食べておいしいもの。
今までは条件に合わせてだけど、自分の条件にハマる品種があればいいんすけど、ないからなんです。
例えば、普通イチゴって夏になったら花を咲かせないんです。
けれども夏にもイチゴを出したいから、夏に花が咲くものにしたいので、夏に花が咲く品種を選んでいく、というふうに選択をしていく。
そしてこういう味が好きだし、これとこれでかけあわせてスタートしてみて、食べられられるようになるのが3年。
でも、変わらず固定させていくというのには、最低5年はかかる。
それでもたぶん5年生は相当早いほうです。
仕事にするとできないので、趣味だと思っているんです。
品種にも娘の名前を使ったので(笑)
お父さんが作ったイチゴが、ウエディングケーキに乗ってるって素敵ですねー(^^ )
野中農園
野中剛さん
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